Home > スタッフブログ新着一覧 > 2021 CALE Annual Conference via Zoom

国際会議

2021 CALE Annual Conference via Zoom

国際会議   2021/02/08 (月)  12:47 PM

1月28日・29日に、日司連国際交流室員として、名古屋大学法政国際教育協力研究センター(CALE)主催の年次会議に参加しました。

例年、名古屋大学キャンパスへ赴いて参加していたのですが、新型コロナウイルスの影響により、今年は初のZoom online conference となりました。

今年は、昨今話題となっている無国籍問題を取り上げられ、現状・打開策などが議論されました。

無国籍問題は日本でも長く話題になっているところですが、実は旧ソ連崩壊の直接の影響を受けた中央アジア5か国ほど問題視されている分野ではありません。そのため、報告者のうちの一人から、日本はもっとこの無国籍問題に真剣に取り組むべきであるという指摘もありました。

 

無国籍者になる理由として、国の分裂、そして制度上の問題があります。その多くの被害者は結婚移民に集中しています。

 

無国籍者であるがゆえ、教育・医療を十分に享受できないことから貧困に陥りやすくなっているのが、中央アジア5か国が独立する前に存在した旧ソ連時代の花嫁(trans-border spouse)です。もしフォーマルな結婚を経ていれば法的地位も確立していたところ、インフォーマルな方法(customary marriage)で結婚することが主流であったことから、旧ソ連崩壊後の新たな独立国である中央アジア5か国内では自分自身を証明できる公的書類がなく、結果として無国籍者扱いになっています。

台湾では、1929年から1949年にかけて、帰化する前に、母国の国籍を放棄することとする国籍法に基づき、多数の無国籍結婚移民が流出しています(当該条項は2000年に廃止となっています)。特に結婚を機に台湾に移住してきたベトナム人女性で、無国籍者になった数は凡そ1000人に及んでおり、現在彼女らはベトナム国籍を取り戻すために奮闘中です。

 

日本でも、昨年6月時点で少なくとも647名の無国籍者が存在しています。日本の課題は、制度上の問題というよりも無国籍者へのケアが自治体によって大きく異なっている運用面のようです。

 

各国に存在する無国籍者をなくすための方策として、二重国籍を認めるべきである、国籍登録制度を技術的にもっと簡素化し、一般の方にもっと馴染みのあるものに改良していくべきであるなど、積極的な提案が出されました。

 

今回の討論を踏まえ、司法書士として直接どのような形で無国籍者の方を支援できるか悩ましいところがありますが、戸籍を扱う士業の一人として、今後もこの問題については注意を払っていきたいと思います。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

トラックバックURL

http://toyoda-kizugawabuero.net/kanri/wp-trackback.php?p=1448

ページトップへ戻る