遺言執行者の権限の明確化
遺言執行者の権限が改正民法で明確化(令和1年7月1日施行)されてから、今年で3年が経ちます。
改正民法で重要な点は以下の2点です。
① 遺言執行者は、任務を開始したとき、遺言内容を、遅滞なく、相続人に通知しなければならない。(新法1007条2項)
② 「相続させる旨の遺言」の場合、遺言執行者に対抗要件の具備に必要な行為をする権限が付与された。(新法1014条2項)
①については、改正前では通知義務が明確化されていませんでしたが、この条文によって、相続人が遺言者の死亡及び遺言執行開始の事実を知ることになります。
②については、いわゆる「相続登記の申請権限」が遺言執行者にも付与されたということです。ただし、遺言執行者のみに申請権限があるわけではなく、これまでどおり相続人自らも相続登記の申請ができます。
ご注意いただきたいのが、経過措置に伴う実際の適用時期です。(附則8条1項2項)
①については、施行日(令和1年7月1日)前に相続が開始しても、施行日以降に遺言執行者が就任すれば遺言執行者には通知義務がございます。
②については、施行日以降に相続が開始したとしても、遺言書作成日が施行日前であれば、本条項の適用はなく、遺言執行者には登記申請権限はございません。
特に②は、遺言書作成日にはご注意下さい。