相続土地国庫帰属制度の運用

令和5年8月23日、京都地方法務局担当部署より、相続土地国庫帰属制度の実務運用についての講義が行われました。

相続土地国庫帰属制度とは、「相続」又は「相続人に対する遺贈」により取得した土地を、法務大臣の承認のもと、一定額の負担金を納付することで、国に帰属させる制度であり、令和5年4月27日より施行されました。この取得原因は、最後の取得原因が「相続」「遺贈」であればよく、さらに申請段階で、相続登記が完了していない場合でも受付けてもらえます。

現在の相続土地国庫帰属制度に係る承認申請は、窓口申請のほか郵送申請でも受付けておりますが、オンライン申請は未対応のようです。申請の際には審査手数料として収入印紙14,000円(土地1筆)を納付しなければなりません。これとは別に、審査が承認された場合には承認通知と一緒に、負担金通知が届きますので、負担金の通知が到達した翌日から30日以内に納付することで、土地の所有権が国へ移転することとなります。国への名義変更手続きは、国側で対応します。京都地方法務局では、申請書が提出されてから承認決定が出るまで凡そ8カ月、登記完了までであれば10か月ほど期間を要するようです。

審査承認の基準として、却下要件・不承認要件が帰属法に列挙されています。このうち、却下要件の代表例でもある「建物の存する土地」については、京都地方法務局では、即却下とするのではなく、解体費用が多額に及ぶことを考慮して、一定の期間以内に取り壊しをしないと却下とする、と柔軟な取り扱いをされています。このほか、不承認要件に該当する場合でも、各々の土地の性質にも起因することから、一律ではなく、個別に判断されるようです。

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